雪と氷と岩のPhoenix:GietlとOberbacherのルート

2021年1月13日公開のアーカイブインタビューです。登攀の記録とAndrea Oberbacherの評価は、当時の状況と経験を伝えています。

山岳ガイドのSimon GietlとAndrea Oberbacherが去る12月27日に成し遂げたのは、セストのドロミテにあるMonte Poperaのミックスルート開拓でした。
全長450メートル、グレードWI5+とM6、6ピッチ。Phoenixは複雑ながら魅力的なルートです。以前、アルパインルートLifestyleの開拓についてのインタビューで知り合ったAndrea Oberbacherに、その話を聞くことができました。

こんにちは、Andrea!教えてください。Simonからこのルートを提案する電話があったとき、引き受けるまでどれくらい考えましたか?

こんにちは!すぐに承諾しました(笑)。Simonとは長い付き合いで、季節を問わず多くのルートを一緒に開拓しています。電話で計画を聞いて、やろうと答えました。彼は僕をよく知っています。このルートを一緒に開拓しようと言ってくれたのだから、僕にもできるということです(笑)。

ルートの特徴と、付けたグレードについて聞かせてください。

垂直な区間が連続し、とくに最初の3ピッチが難しいので、M6としました。2ピッチ目の氷柱は岩から離れて不安定でした。氷の薄さも難しさの要因です。確保には主に岩に設置する取り外し可能なプロテクションを使い、アイススクリュー(イタリア語の検索)は少数でした。氷の状態から、ルートにはWI5+を付けました。

[これは氷と岩が混在するミックスルートです。難易度の尺度はMixedのMと呼ばれます。ミックスルートではクランポン(イタリア語の検索)とアイスアックス(イタリア語の検索)が必要で、これらを岩にも使う技術をドライツーリングと呼びます。
一方、Water Iceの難易度は、傾斜、氷の状態、プロテクションを使う際の容易さや複雑さに基づきます。]

Monte Poperaの雪に覆われた岩壁と赤線で示されたPhoenix

どのようなプロテクションを、どれくらい使いましたか?

主に必要だったのはフレンド(イタリア語の検索)です。登攀用に残した固定プロテクションは一つだけで、2ピッチ目の岩にハーケン(イタリア語の検索)を残しました。氷柱を越える、最も難しい箇所のためです。ビレイ点はハーケンと岩や氷のスレッドで作り、二つでは氷に人工的なスレッドを作るAbalakovの技術を使いました。

下降はどうでしたか?

懸垂下降の際、最後のビレイ点にハーケンを打って残しました。2回目と3回目はAbalakovで下降し、ほかはハーケンと岩のスレッドを使いました。ルートの基部では、約400メートルの急な棚を再び横切り、トラバース中はフレンドで確保しました。それからスキーとザックを置いた場所に戻り、ヘッドランプを使って下りました。

雪の溝を通るPhoenixへのアプローチ — 写真:Simon Gietl

Abalakovについて、氷に作ったスレッドで確保するのはどんな感じですか?

氷が良ければ、こういうルートでスレッドは一番心配の少ないものです(笑)。Abalakovを使った二つのビレイ点では、氷は約20-30センチメートルの厚さで内部に空気がなく、二つのスレッドを作ってつなぐには十分安全でした。スレッドは自然にできている場合もありますし、アイススクリューを外側から内側へ適切な角度で入れて作ることもできます。穴を開けるときは、氷を割ったり傷めたりしないように注意することが不可欠です。こうした下降用スレッドを作る場合、多くは上側にまだアイススクリューがあり、それをビレイ点につなぎます。スクリューの代わりにフレンドを設置することもできます。万一スレッドが壊れても、最初の人はその確保を受けて下ります。最初の人を支えたスレッドは、二人目も支える可能性が非常に高いです。

編集部注:この2021年の体験談は、技術の実施マニュアルではありません。記載された厚さや最初の人の下降は、二人目の懸垂下降の安全を保証しません。Abalakovの強度は氷の質、作り方、損傷の有無に左右され、バックアップの接続にも専門的な技能が必要です。懸垂下降の技術は、適切な訓練と十分な能力を持つ人の支援を通じて習得し、評価する必要があります。

ルートのどこが一番難しかったですか?

2番目のビレイ点は客観的危険にさらされています。狭い溝にあり、先行者が登るときに動かしたり剥がしたりする氷、岩、雪の破片が落ちてきます。注意が必要ですが、下部の小さなくぼみに入ると、一部は避けられます。

Phoenixの岩と氷の間のビレイ点にいるAndrea Oberbacher

ただ、一番難しかったのは、先ほど述べたハーケンを残した2ピッチ目です。岩から離れた氷柱があり、それに頼って登る必要がありました。氷と岩の間を登り、岩の雪を取り除きました。写真(下)では氷柱の灰色がかった氷がわかります。乾いて岩壁から離れているので、不安定で登るのは危険です。形成されてから長い時間がたったことや、温度が原因かもしれません。岩が温まり、接している氷を融かすのです。

Phoenixの岩壁の間の氷柱を登る赤い服の登山者

岩の状態はどうでしたか?

氷瀑ができるということは、一年の大部分で水が流れ落ち、その水と一緒にしばしば岩くずも落ちるということです。そのため垂直な岩はいつもかなり滑らかで、登攀を助けるエッジ、手がかり、穴がとても見つけにくいのです。

アイスとミックスの登攀に適した状態について、もう少し詳しく聞かせてください。

こうしたルートはできないこともあれば、氷が多く厚くなって、より良い状態になることもあります。ほかと同様に、Phoenixも水量や氷点下の期間などによって、年ごとに変わるでしょう。いろいろな可能性があります。厳しい寒さが続くと、上の方で厚い氷が成長し、水の大部分を使ってしまうので、基部まで氷を作るだけの水が残りません。気温が氷点下を少し下回る程度なら急には凍らず、薄さに違いはあっても、流れ全体を作る水が残ります。最初の場合、上部に氷瀑ができると、水の流れを変えて別の流下経路を作ることもあります。夏にはこのルートは登れません。絶えず水が滴るためにできた黒い筋が見えます。

登りではスピンドリフトと凍結に遭いましたね。その現象について聞かせてください。

高所や上側で風が吹くと、粉雪が運ばれて溝を下り、急な斜面から自分に降りかかります。スピンドリフトは雪のシャワーのようで、岩沿いの風の音を聞いたあと、雪が来る音がします。体を冷やしてどこにでも入り込み、とても厄介です。手袋を外すとすぐに手が濡れ、凍傷の危険があり、そのあと手袋を着け直すのも難しくなります。霧のように視界が悪くなり、上を見れば顔に雪が当たるので見られません。通常30秒から数分、待つしかありません。[Simonが撮影した動画はこちら]

手はどうやって保護しますか?

技術的な要求が高くない、ある程度までの難易度ならミトンを使います。技術的に難しくなると、より薄く、指が分かれた手袋(イタリア語の検索)を使います。

このルートに挑む人に、どんな助言をしますか?

ルートのグレードを落ち着いて確実にこなせる必要があります。そのうえで、装備一式を持った3時間のアプローチ、人里離れたアルパインの環境、ルートにかかる時間、技術力を含め、全体の難しさを考えるべきです。
天候については、もっと好条件の気温でも試せます。僕らがその日に登ったのは、その後の予報が悪く、大雪になりそうだったからです。雪が少ない別の条件なら、履き替えをせず登山靴でアプローチすることもできますが、下降はスキーの方が速いです。アプローチや登攀中に汗をかいたり濡れたりした際に着替えられるよう、靴下、手袋、シャツを持つとよいですね。湿気は決して良いものではありません。

装備の話に移りましょう。どんなアイスアックスを持っていきましたか?

SimonはGrivel(イタリア語の検索)のテクニカルモデルを使いました。僕はそれほどテクニカルではないアックスを二本持ちました。アプローチから登攀までのさまざまな場所で、必要なら交換できるようにしたかったからです。たとえば雪では、テクニカルではないものはシャフトの曲がりが一つで、前進するために雪へ刺しやすいという利点があります。テクニカルなアイスアックス(イタリア語の検索)には、登攀でとても役立つグリップがあります。とはいえ装備の選び方は個人的で、登山者が普段どう使い慣れているかに左右されます。それぞれの好みがあります。

山岳ガイドとして、安全についても助言をいただけますか?

氷の安定性と強度を判断できることはとても重要です。氷瀑の向きを評価し、どんな天候で登るのがよいかを考えることも役立ちます。たとえば南向きで日が当たる氷瀑では、登る際の気温はかなり低くなければ、日射の熱で氷が剥がれることがあります。低い気温や曇天で出発する方がよいのです。零度前後なら、アックスは氷を大きく割らずに入りやすく、打ち込む回数が減って力を節約できます。より寒いと氷は脆く、割れやすくなり、アックスの周囲に不安定な花状の氷ができます。Phoenixは北向きで日が当たりません。
この季節は日が短く、アプローチと帰りも長いので、ヘッドランプも常に持つ方がよいです。僕らは早朝に取り付きへ着くときと、夕方遅くにスキーで下るときに使いました。
通常、先行者は軽く登り、必要な装備の入った重いザックを二人目に預けます。僕らはとても小さいサイズから3までのフレンド一式、主に懸垂下降に使った岩用ハーケン、薄い氷用の短いアイススクリューを持っていました。

Phoenixの基部から雪の斜面をスキーで下る夜の場面

Andrea、どうでしたか?

ルート自体も好きでしたし、長いアプローチの複雑さや、人があまり訪れない野生的なアルパインの環境も良かったです。楽しかったですね。

雪景色の中、ヘルメットとアイスアックスを携えたAndrea OberbacherとSimon Gietl

ありがとう、Andrea!

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