補強トレーニングと生物学的年齢:筋力の発達はどう変わる?Fisiorockに聞く

2020年12月2日に公開したアーカイブのインタビューです。Fisiorockのドクター、Olaf Panozzoの回答は当時の見解を述べたものです。年齢、負荷、トレーニングの例や、一人で練習することへの言及も、その時期の状況を背景としています。

フィンガーボードを使うにしても、クライミングに特化したほかのトレーニングを行うにしても、20代の若々しさ、30代の粘り強さ、40代の知恵を持って取り組む場合では、まったく同じとはいきません。筋力の発達の違いからケガのリスクの高低まで、幅広いテーマです。この複雑な要因の組み合わせには、これまでのトレーニング年数、長年どれほど継続して練習してきたか、そして年月が身体の組織にもたらす避けられない変化など、多くの変数が関わります。Fisiorockのドクター、Olaf Panozzoとともに、その複雑な関係を解きほぐしてみましょう。

 

 

おはようございます、Olaf。再びお話しできてうれしいです!今日は無数の細かな違いや個別のケースがあるテーマに踏み込もうと決めました。とにかく挑戦してみましょう!まず最大筋力について伺います。その発達、あるいは発達の速さは、20歳、30歳、40歳、それ以上ではどう変わるのでしょうか?

 

またお会いできてうれしいです。再び招いてくれてありがとうございます!この話をするには、まずトレーニングの基本的な要素である、いわゆるadaptive capacity、つまり適応能力を考える必要があります。簡単に言えば、トレーニング刺激を有害な刺激にしてしまうのではなく、その刺激に適応できるかどうかという、非常に個人差の大きい能力です。

 

 

この適応能力には実に多くの要因が影響し、常に変化する目標のようなものです。影響する要素には、トレーニング歴(前回のブログ記事を参照・イタリア語)、生物学的年齢、日々の生活習慣や仕事・活動の種類、使える時間、家庭の状況、モチベーション、睡眠の量と質、食習慣、トレーニングの種類と構成があります。これらすべての組み合わせによって、トレーニングで身体に課すストレスは、まったく同じ計画であっても、超回復やケガという点で人によって異なる結果をもたらします。

 

 

特に生物学的年齢は、この適応能力にどのような影響を与えるのでしょうか?

 

生物学的年齢によって、筋力が発達する仕組み自体が変わるわけではありません。その生理学的な仕組みは一定です。しかし、どの程度のトレーニングに耐えられるか、またどれだけ速く適応するかは、生物学的年齢によって決まります。トレーニング歴が同じ20歳と50歳の2人に同じ計画を実行してもらえば、若い人のほうが早く改善し、ケガのリスクも低いと予想できます。

 

 

この仕組みの背景にはいくつかの理由があります。年齢とともに細胞の代謝が遅くなり、トレーニングで対処しなければ、筋肉量は自然に減少する傾向があります。さらに、仕事や家庭生活に伴うさまざまなストレスも増えるという点を無視できません。これによって、特に身体の構造面で、私の適応能力や超回復の能力が制限されます。

 

 

筋力が発達する仕組みについてお話ししましたが、具体的には何を指しているのでしょうか?

 

引き続き簡単に説明すると、筋力には大きく2つの発達の仕組みがあり、構造的なものと神経的なものに分けられます。前者では、筋線維の直径や直列に並ぶサルコメアの数が増えることによる筋肉量の増加に加え、腱、靱帯、関節包にも構造的な変化が生じます。

 

一方、神経的な適応とは、私の神経系がより多くの筋線維を動員し、信号の頻度や加重を改善し、拮抗筋の抑制を高める能力のことです。これらは、身体の構造には実質的にほとんど変化がないまま起こります。

 

 

これ以上単純化するのは難しいですね。最大筋力を決める要因は数多くあり、生物学的年齢はそのうちの1つにすぎないからです。

 

 

例えば40歳から、素早い筋力や爆発的な筋力を高めるためのプライオメトリクスを始めることは、逆効果だと思いますか?

 

逆効果かどうかは、年齢というより、これまでの経験や身体が慣れている刺激によります。パワーやプライオメトリクスに取り組むには、基本的に2つの条件が必要です。1)十分な最大筋力があること。2)その種類のストレスを受け止められるだけのトレーニングを積んだ腱組織があることです。

 

 

40歳のクライマーに十分なトレーニング歴とクライミング歴があり、数年前からクライミング以外の補強トレーニングをしていて、その内容が主に最大強度のぶら下がりや加重懸垂などの最大筋力トレーニングであるなら、目標にパワーや爆発力の向上が含まれている場合には、フィンガーボード、懸垂バー、あるいはボルダリングウォールで、そうした練習を計画することを考えられます。

 

 

反対に、クライミングやトレーニングの経験が少ない場合でも、最初のサイクルでは筋力トレーニングを重視します。理由は簡単に言うと2つです。最大筋力を鍛えることで、密性規則性結合組織からなる構造に、最大値に対する割合として適切な刺激を与え、適応を促せます。また、最大筋力の練習は、パワーを直接鍛えなくてもパワーを改善します。パワーは時間の中の力だからです。

 

 

 

では、キャンパスボードのように、特にケガにつながりやすいと考えられている練習をしたい場合はどうでしょうか?

 

そうですね、キャンパスボードは別に取り上げる必要があります。接触時の筋力やプライオメトリクスを鍛える唯一の手段だと考えられがちですが、それは誤りです。この器具の大きな欠点は、いつも自分の体重による抵抗に対して動かなければならないことです。その抵抗が十分に軽い人もいますが、大半のクライマーには重すぎます。通常、パワーエンデュランス、つまり爆発的な動きを繰り返す能力を鍛える場合、負荷は最大値の50%までです。私が見ているクライマーの大半では、それは自分の体重よりも小さいと断言できます。ですから一般的に、キャンパスボードには、多くの利用者が持っているよりもはるかに高い最大筋力が必要になります。

 

 

それでは「ケガ」という大きなテーマに移りましょう。若くて気楽な頃のほうがケガをしやすいのでしょうか。それとも、長年のトレーニングを重ね、知恵を得ていても、さまざまな疲労が現れ始める頃のほうがケガをしやすいのでしょうか?

 

もうこの言葉にはうんざりしているかもしれませんが、ここでも決まったルールはありません。特定の問題には年齢と強い関係があります。最も分かりやすい例は、子どもや思春期のクライマーの指に起こる疲労骨折です。繰り返しの負荷によって、指の骨である指節骨の成長板、つまり長い骨のまだ成長している部分に骨折が生じます。これはこの年齢層で最も多いケガの原因ですが、大人では骨の成長が終わっているため、事実上ほとんど起こりません。

 

 

この特定の例以外では、傾向はそこまではっきりしません。生物学的年齢、特にトレーニング歴が進んでいるということは、腱や指の屈筋腱のプーリーなど、多くの組織が、私たちの課す負荷に耐えるよう発達してきたことを意味します。一方、生物学的年齢やトレーニング歴が低い人では、組織はまだ弱い状態です。そのため平均的には、前者では負荷の履歴や結合組織の過度な硬化に関連した使いすぎの問題が起こりやすく、後者では急性の外傷や組織の損傷が起こりやすくなります。

 

 

エビデンスから分かっているのは、トレーニング歴と慢性的な負荷がケガに対して保護的に働くことです。この意味では、早くから始めて何年も、あるいは何十年も登っている人が最も良いプロフィールになります。反対に、遅く始めて慢性的な負荷が非常に少ない人は、上で述べた理由から適応能力が低くなるため、最もリスクの高いプロフィールになります。

 

 

出典は覚えていませんが、40代の人の一般的な生活、つまり仕事や家庭、子どもに伴うストレスによってケガをしやすくなると、どこかで読んだことがあります。たとえ午後6時の練習に向かうときの疲れだけが理由であっても、という話でした。どう思いますか?

 

これは、先ほど説明したことや適応能力の考え方と、部分的につながっています。このようなプロフィールの人は適応能力が低くなるので、それを考慮したトレーニングを検討し、量やボリュームよりも、質や強度を重視する必要があります。

 

 

また、練習前に評価する指標を持つと賢明でしょう。その日の疲労が大きすぎて休むほうが得られるものが多いのか、それとも残っているエネルギーをトレーニングに使えるだけの準備ができているのかを判断するためです。

 

 

最も簡単ですぐに行える方法は、いつも同じウォームアップをして、その最後に最大強度かそれに近い要素、例えば指のぶら下がりを入れることです。これによって、普段の自分と同じ水準にあるのか、その晩はかなり少ないことしかできないのかを確かめます。パフォーマンスの低下に気づいたら、寝たほうがよいですね。

 

 

安静時の心拍数や心拍変動といった、全身的な要素も評価できます。平均より心拍数が高い、あるいは心拍変動が低いということは、私の身体が追加のストレスを受ける準備が、あまりできていないかもしれないことを示します。

 

 

最後に、垂直跳びの高さなど、競技に特有ではない指標も使えます。この測定値は文献でよく研究されており、神経系が最大努力を発揮する準備状態と相関することが示されています。もちろん、少なくとも1か月間は値を記録して、自分の平均を把握する必要があります。そうして初めて、通常の水準にあるのか、それを下回っているのかを判断できます。

 

 

この時期は、私たちは皆、多少なりとも一人で練習しています。一方では、先週末の岩場の話に夢中になって休憩を長くすることがなく、他方ではグループで練習することの付加価値が得られません。ケガという点では、どちらの方法がより「安全」だと思いますか?

 

黄金則はいつも同じです。普段より大幅に多くも、普段より大幅に少なくもしないこと。それに尽きます。

 

 

自分の平均に対してプラスやマイナスの急激な変化があるなど、負荷を大きく変えると、より高いリスクにさらされます。これまで週に1回外で登り、トレーニングは一度もしていなかったのに、フィンガーボードを3-4回練習するようになることは、ケガのポイントを大量にためる格好の方法です。この比喩が好きなのは、身体の中で起こることはすべて即座に現れるわけではなく、時間をかけて現れると説明できるからです。

 

 

トレーニングをすると、ここまで一緒に見てきたものも含む多くの要因に応じて、常にある程度の適応ポイントとケガのポイントを集め、それらが積み重なります。身体はそれに反応し、やがて向上するか、ケガをします。しかし、どちらの出来事も時間をかけて形成されたものです。常にそのことを忘れないでください。

 

 

もっと詳しく知りたい方や、トレーニングについて個別に相談したい方は、Fisiorock!のドクター、Olaf Panozzoに連絡できます。

編集部注:20歳、30歳、40歳、50歳という例は暦年齢を指し、生物学的年齢とは必ずしも一致しません。「パワーは時間の中の力」という表現は、元のインタビューからそのまま引用しています。力学的には、パワーは単位時間当たりに行われる仕事であり、筋力の立ち上がり速度とは別のものです。

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