カラビナは岩場で使う装備の基本です。クイックドローに使うほか、ビレイデバイスとハーネスの接続や、ビレイステーションでの操作にも使います。適切な素材で製造され、適用される規格に基づく強度試験を受けていても、摩耗したり、意図せず不適切な向きになったり、極端な場合には破断したりすることがあります。耐用期間、荷重、使用条件については、使用するモデルの取扱説明書を確認してください。
カラビナの正しい使い方と仕組みを学び、力がどのように作用するかを理解し、装備を定期的に点検することは、事故のリスクを減らすのに役立ちます。ただし、リスクをなくせるわけではありません。メーカーが公開する取扱説明書や技術記事の中から、今回はPetzlとEdelridの資料を選び、カラビナの不適切な使い方の原因と、その結果起こりうる問題を紹介します。
摩耗
まず確認するのは摩耗です。点検は欠かせませんが、さっと目を通すだけでは十分ではありません。使用頻度や負荷によっては素材が削れていきます。すべてのカラビナに共通する「十五年で使用期限が切れる」という決まりはありません。Petzlは自社の金属製品に一定の年数による期限を設けていませんが、永久に使えるという意味ではありません。一度の大きな墜落や荷重の後も含め、メーカーが示す使用中止の基準は引き続き適用されます。クイックドローのカラビナには、ロープが通ることで溝ができることがあります。鋭い縁やバリはロープを傷つけ、素材の減少は強度の低下につながることがあります。鋭い縁、変形、または取扱説明書で使用中止の対象とされるその他の不具合があるカラビナは使わないでください。判断に迷う場合も、使用を中止してください。
スクリューロック式やオートロック式のカラビナでは、ゲートが正常に閉じない、あるいはロック機構が働かないといった形で不具合が現れることがあります。ロッキングスリーブが岩に接触すること、機構に入った汚れや砂、塩分による腐食などが考えられる要因です。ゲートとロックが正しく機能しないカラビナは使用しないでください。ロープが外れるおそれがあり、ゲートが開いた状態では強度も低下します。点検、メンテナンス、使用中止についてはメーカーの指示に従ってください。
向きと位置
カラビナとクイックドローの適切な向きや位置は、専門的な講習で学んでください。Petzlの解説(英語)とEdelridの解説(英語)は、避けるべき状況を理解するのに役立ちます。短軸方向に荷重がかかる、複数の軸方向に引っ張られる、岩の角に載る、ロッキングスリーブに圧力や摩擦が加わる、といった状況です。たとえば、ビレイステーションのカラビナが横向きに回る、クイックドローのカラビナが岩の角に載る、スリーブが岩に触れる場合があります。こうした条件に注意を払うことは不可欠ですが、それだけで事故が起こらないと保証できるわけではありません。
外れてしまうリスクも、この問題に含まれます。ロープやスリングが引っかかるとゲートが閉じなくなり、岩との接触や摩擦によってゲートが開くこともあります。ゲートが開いているとロープが抜けるおそれがあるほか、カラビナの強度が下がり、破断の危険が生じます。
これらの例に共通する基本は、カラビナをメーカーが想定した状態で使用することです。通常は長軸方向に荷重をかけ、ゲートを閉じ、ロック機構がある場合はロックした状態で使います。横方向の荷重や想定外の配置は危険になることがあります。よくある例がビレイ中の接続です。GRIGRIなどのビレイデバイスは、それぞれの取扱説明書に従い、適合するロッキングカラビナでハーネスのビレイループに接続します。クイックドローで接続するわけではありません。接続してロックした後でも、カラビナが回って短軸方向に荷重がかかることがあります。その時点では荷重が小さく見えるからといって、このリスクを軽視しないでください。
カラビナに関するこれらの注意点や、その他の重要な警告については、Petzlの技術記事(英語)とEdelridの技術記事(英語)に加え、使用する製品の取扱説明書を確認してください。











