雪や氷のある山で使う装備は、ルート、季節、現地の状態、パーティーの技術によって変わります。ここでは主に一般的な高山登山と氷河歩行を扱います。急な氷壁やテクニカルルートには別の道具と訓練が必要です。すべての行程に共通する持ち物リストはありません。出発前に地形、天候、予報を確認し、資格のある山岳ガイドの助言も踏まえて計画してください。
ヘルメット、ハーネス、ロープ、カラビナなどの連結具、ピッケル、アイゼン、登山靴は組み合わせて考える必要があります。手持ちのクライミング用品を再利用する場合は、用途に合い、状態が良く、ほかの装備と適合することを確認しましょう。重ね着、防寒用の手袋と目の保護、水、ナビゲーション用品、行程に合った緊急装備も用意します。
ロープ
ダイナミックロープにはシングル、ハーフ、ツインがあります。マークとメーカーの説明書を確認してください。½の印が付いたハーフロープだけが登山用ロープというわけではありません。リードをビレイするルートでは、ハーフロープとツインロープはそれぞれ決められた方法で、通常は2本一組で使います。氷河ではロープの種類や長さ、結び方をパーティー構成とクレバス救助計画に合わせます。ビレイ器などとの適合性も必ず確認しましょう。雪と氷の環境では、認証された撥水加工のあるロープを検討できます。吸水を抑えますが、完全防水にも凍結しない状態にもなりません。
ハーネス
クライミング用ハーネスも、メーカーがその用途を認め、重ね着の上から正しく装着できれば登山に使える場合があります。高山用モデルには、登山靴やアイゼンを履いたまま着脱しやすいよう、調整または開放できるレッグループを備えたものがあります。重量だけで選ばず、調整幅、衣服との相性、用具を携行するスペースを確認してください。
ヘルメット
登山用ヘルメットは頭に合うサイズで正しく調整でき、EN 12492などの適用規格に適合している必要があります。保護範囲や試験内容は説明書で確認しましょう。TOP AND SIDE PROTECTIONはPetzlの製品ラベルで、共通の認証名ではありません。ヘルメットは衝突や落下物による危険を減らす助けになりますが、危険をなくすものではありません。メーカーの指示に従って点検・交換してください。
カラビナ、補助ロープとスリング
連結具、補助ロープ、スリングは、行う操作、ほかの装備、使用環境に適したものを選びます。認証品というだけでは十分ではありません。素材、径、カラビナの形状、接続する器具が互いに適合しなければなりません。摩耗、表示、説明書を確認し、経験者と練習したことのある操作だけを行ってください。
ロープクランプとアイススクリュー
ロープクランプは登高や救助の操作に使えますが、使用可能なロープ径と操作方法は機種ごとに異なります。器具の説明書を確認し、必要になる前に自己救助の技術を練習してください。アイススクリューは適切な氷に設置する支点です。長さ、設置位置、保持力は氷の質や厚さにも左右されます。実技訓練を受けずに支点を即興で作らないでください。
ピッケル
一般的な雪上歩行や氷河歩行では、支持、バランス確保、滑落停止に適したピッケルを使います。傾斜や地形によっては異なる形状が必要です。急な氷壁向けのテクニカルなアイスツールと一般登山用のピッケルは代用できません。ルートに合わせて選び、資格のある指導者から持ち方と使い方を学びましょう。
アイゼン
アイゼンは構造、爪、装着方式が異なります。ストラップ式、かかとにレバーが付く方式、つま先とかかとの両方で固定する方式は、いずれも適合する登山靴と正しい調整が必要です。靴にコバがあるだけでは適合は保証されません。メーカーの適合表を確認し、実際に使う靴に左右それぞれのアイゼンを装着して、ずれないことを確かめましょう。雪の付着を抑えるパーツと爪の状態も点検してください。
登山靴
登山靴には、ルートに合ったフィット感、保温性、剛性に加え、選んだアイゼンとの実際の適合性が必要です。コバのない靴すべてにあらゆるストラップ式アイゼンが合うわけではなく、コバが一つまたは二つあっても適合は自動的には決まりません。両方のメーカーの説明書に従って靴とアイゼンを一緒に試し、出発前に安定性と歩きやすさを確認しましょう。
雪崩救助キットとその他の緊急装備
ルートに雪崩危険地形が含まれるなら、パーティーの全員が雪崩ビーコン、ショベル、プローブを携行し、使い方を身に付ける必要があります。このセットは危険評価、ルート選択、救助訓練の代わりにはなりません。高山の行程では、救急用品、非常用ビバークシェルター、ヘッドランプ、ナビゲーション用品、電話、救助要請の計画も検討してください。具体的な持ち物は場所と日程によって変わります。
出発前の確認
この記事は、ロープを使う登山技術、滑落停止、クレバス救助、雪崩救助の手順を教えるものではありません。資格のあるガイドや指導者から学び、使う装備の説明書を読み、現地の状況を確認してください。ロープと装備の基準はUIAA、靴とアイゼンの組み合わせはPetzlの案内、高山装備の概説はORTOVOX Safety Academyを参照してください。
カバー写真:ORTOVOX / Hansi Heckmair, Palü。











