アーカイブ、2024年7月18日:この記事はパリ2024のクライミング競技が始まる前に公開され、当時会場で見られると予想したクライミングシューズを紹介したものです。競技結果は公式レポートをご覧ください。
パリ五輪の開幕が近づいています。リードとボルダーの複合には40人、スピードには28人の選手が出場資格を得ました。あとは競技を楽しむばかりです。リードとボルダーの選手はどんなクライミングシューズで戦うのでしょうか。

写真:Nakajima Kazushige/Mia Krampl
まず、競技用クライミングシューズにはどんな特徴があるのでしょうか。
リードかボルダーのどちらか一方で主に使われるモデルもあれば、両方の決勝で見かける汎用性の高いモデルもあります。
ボルダーの大会では、一般に非常に柔らかく足裏の感覚が得やすいシューズがよく使われます。丸みを帯びたホールドへのスメア、非常にダイナミックな動き、大きなボリュームに対応するためです。ここでは素早い反応と動きの自由度が重要になります。高いレベルのボルダラーの技術を引き出す例として、La SportivaのSkwamaとTheory、TenayaのOasi、Mad RockのSharkがあります。
リードの決勝に進む選手は、非常に小さな足場に精密に立つ「エッジング」に優れたモデルを好む傾向があります。極端な柔らかさよりも、少し剛性を持たせたバランスが選ばれることが多く、リード競技のより垂直に近い壁でも足を支えます。この競技で主に見られるモデルにはLa SportivaのSolution Comp、SCARPAのInstinct VSR、Mad RockのDroneがあります。
一方、両種目の決勝で活躍する万能なモデルもあります。そうしたシューズが好成績を収める選手たちに選ばれることも珍しくありません。例としてSCARPAのDragoとDrago LV、Five TenのHiangle、EvolvのZenistが挙げられます。
それでは、パリ五輪のリードとボルダーの舞台に登場すると予想したクライミングシューズを詳しく見ていきましょう。まずはパリへの出場権を獲得したイタリアの女子選手から紹介します。

Anraku Sorato/写真:Nakajima Kazushige
Wild Climb Pantera Lacci — Laura Rogora
Laura Rogoraは最近、ハイレベルの競技を念頭に開発したWild Climbの新しいシューズをInstagramで発表しました。その発想の出発点は、東京五輪を含む重要な大会で彼女を支えたPantera Lacciです。Panteraの長所を残しながらソールをより柔らかくし、シューズ前部を覆うラバーを加えることでトウフックに対応しました。Panteraがリードルートや岩場で選ばれてきたのに対し、新しいシューズはボルダラーのニーズをより意識しています。Wild ClimbのArtemisは今後のモデルですが、この記事を書いた時点では、パリ五輪でPanteraとともにLauraができるだけ高く登る姿を待ち望んでいました。

Laura Rogora/写真:Marco Iacono、Fasi Media Gallery
SCARPA Drago — Camilla Moroni
リードを得意とするLauraの次は、イタリアのボルダー選手Camilla Moroniです。彼女は黄色と赤のSCARPA Dragoを愛用し、世界各地の大会に持参して好成績を目指してきました。Dragoはボルダー大会で特によく使われるシューズの一つで、標準モデルのほか、白と黒のローボリューム版もあります。精密で足に密着し、トウフックとヒールフックに強く、競技でおなじみの大きなボリュームを押すときも反応が良好です。Oriane Bertone、Mia Krampl、Lucia Dörffel、Sean McCollも履いています。

Camilla Moroni/写真:Marco Iacono、Fasi Media Gallery
Five Ten Hiangle Pro — Janja Garnbret
大会の話で、女子競技を代表するJanja Garnbretを外すことはできません。彼女は5.10 Hiangle Proを履いて数々のボルダーのタイトルを獲得し、このシューズを勝利を支える道具にしてきました。Natalia GrossmanやMiho NonakaなどのTeam 5.10の選手たちとともに、このアメリカのブランドは高難度クライミングで存在感を示しています。一方、初心者層にはまだ広く受け入れられていないようです。東京2020ではJanjaはスピード競技でもこのシューズを使い、表彰台への道を開く良い結果を残しました。パリでも彼女らしい驚きを見せてくれるでしょうか。

写真:Nakajima Kazushige/Janja Garnbret
La Sportiva Skwama — Sorato Anraku
La Sportivaといえば、Jakob Schubert、Adam Ondra、東京五輪の優勝者でパリにも出場するAlberto Ginés Lópezといった著名選手のシューズが話題になります。TheoryやSolution Compはこうした選手に結び付けられることが多く、以前の競技用シューズの記事でも紹介しました。しかし、試合でSkwamaを頼りにする選手もいます。パリへの出場権を得たBrooke Raboutou、Hamish McArthur、Chaehyun Seo、Sorato Anrakuは、Skwamaの軽さと分割ソールの柔軟性を選びました。これらの特性は、五輪のリードルートやボルダーを素早く登る助けになります。Skwamaは競技のトレーニングと本番で日常的に向き合う新しいルートセットのスタイルを意識して作られました。柔軟性によりボリューム上で機敏に動け、足裏感覚とフリクションも得られます。

Sorato Anraku
UnParallel Flagship Pro — Tomoa Narasaki
日本チームは常に注目されますが、その中でもTomoa Narasakiのボルダーでの力は際立ちます。以前の3種目複合方式では不利だった可能性がありますが、今回はパリへの出場資格を得た強豪たちと表彰台を争えます。彼が信頼するシューズはUnParallelです。長年の競技経験を生かし、Tomoaは新しいUnParallelモデルの設計にも携わっています。Flagship Proに加え、自身のイニシャルを名に持つTN-Proの開発にも参加しました。ボルダーで力を発揮するシューズに必要な柔軟性、精密さ、小さな足場を捉える強いダウントウを組み合わせています。

写真:Nakajima Kazushige/Tomoa Narasaki
Tenaya Indalo — Alex Megos
6月の五輪予選では、Alex Megos、Lucia Dörffel、Yannick Flohéのドイツチームがそろってパリへの出場権を得ました。Yannick Flohéがトップレベルのボルダー技術を発揮するためUnParallelを選ぶ一方、Alex Megosは長年Tenayaのアンバサダーです。Tenaya Indaloは反応が良く、リード競技で求められる技術的で精密な登りに向いています。東京五輪では準決勝進出を逃した最上位の選手となり、Alexにとって悔しい結果でした。この記事を書いた時点では、その悔しさをパリでの力に変えてほしいと願っていました。

写真:IFSC Media Gallery/Alex Megos
Evolv Zenist Pro — Colin Duffy
Colin Duffyは東京五輪で意外な存在でした。出場資格を得た選手の中で最年少だったからです。2003年生まれの彼は17歳で初めて五輪に出場し、決勝にも進みました。その後の数年間は大会を重ねて表彰台にも立ち、パリで注目すべき選手となる経験を積んできました。Colinが選ぶのはEvolv Zenist Proです。強いダウントウとパワーを備え、ダイナミックなボルダースタイルに適したシューズが、アメリカの若い選手を厳しい競技場面で支えると期待されました。

写真:Nakajima Kazushige/Colin Duffy
パリ2024のクライミング競技は、2024年8月5日から10日までパリ近郊のLe Bourget Sport Climbing Venueで開催されました。











