Magic Wood:ヨーロッパの夏のボルダリング聖地

ヨーロッパのアルプスには巨岩が点在する谷が数多くあり、夏のボルダリングエリアとして親しまれています。Furkapass、Sustenpass、Gotthard、Silvretta、ChamonixとMont Blancの周辺、BransonやFionnay、Sion周辺、Ailefroideなどがその例です。しかし、長年にわたってMagic Woodほどボルダラーの間で人気を集めてきた場所はありません。

 

 

Magic Woodが人気を集める理由

 

Magic Woodがヨーロッパの夏のボルダリングを代表する場所になったのは、いくつもの魅力が重なっているからです。岩の密度、数々の課題の美しさに加え、Bodhi Campingの駐車場から最初の岩まで徒歩約5分という行きやすさも、このエリアの発展を後押ししました。高難度の課題も多く、その中には「グレードが甘い」と評されるものもありますが、その評判がいつも正しいわけではありません。そうした要素がMagic Woodならではの魅力を生んでいます。

 

 

Magic Woodの森に点在する岩

© gebro-verlag.de

 

Magic Woodの魅力

 

Magic Woodには、よく語られるイメージ以上に多様な魅力があります。標高の高いアルプスのエリアでも、日差しに長くさらされる場所は少なくありません。「夏休み」が6月末ではなく8月を意味するなら、強い日差しは登るうえで大きな負担になります。

 

 

それに対してMagic Woodは、その名のとおり心地よい森の中にあります。岩や地面の隙間から突然冷たい空気が流れてくることもあります。地元のクライマーたちの強いコミュニティーに支えられ、ボルダーの開拓と宿泊施設の両面で発展してきました。その歩みには、Bodhi Climbingとして知られるThomas Saluzの個人的な尽力も含まれています。

 

 

2009年からキャンプ場を運営するThomas SaluzとBodhi Climbingの取り組みは、地元コミュニティーによるエリアの保全や来訪者の受け入れと結びついてきました。現在、Bodhi Campingにはトイレとシャワーがあり、AusserferreraにはGasthaus EdelweissとBackpackers Generosoもあります。キャンプ場や村の施設は、Magic Woodを訪れるクライマーの交流の場でもあります。出発前に、各施設の公式サイトで空き状況と宿泊条件を確認してください。

 

 

Markus KöchelerがMagic WoodのU-Boot 6Cを登る様子

Markus Köcheler U-Boot_6c、© gebro-verlag.de

 

 

環境への影響

 

Magic Woodでのクライミングについて話す前に、比較的小さな森林エリアに多くの人が集まることによる環境への影響を考えたいと思います。長年にわたり毎年夏には、国籍、年齢、レベルの異なるクライマーが岩の間に集まり、何週間も滞在する人もいます。かつて設備は限られていましたが、現在Bodhi Campingにはトイレ、シャワー、分別回収設備があります。キャンプ場からボルダリングエリアへは橋を渡って入れます。

 

 

設備が充実するだけでは森を守れません。訪れる人が多いからこそ、一人ひとりの行動が大切です。Bodhi Climbing、IG Magic Wood、多くのボランティアは、Clean Up Dayのような清掃活動や啓発活動を続けてきました。Ferrera自治体は、エリアの保全には資金と協力が必要であり、閉鎖の危機を避けなければならないと伝えています。

 

 

森を守るため、クラッシュパッドやごみを岩の間に放置せず、トイレを使い、ホールドに残したチョークの印を落としてください。決められた小道を歩き、登攀が認められた範囲を守りましょう。Magic Woodを今後も利用できる良い状態に保つには、全員の配慮が必要です。

 

 

アクセスのルール:Magic Woodを訪れる前に、エリアの公式地図とルール、そしてFerrera自治体からのお知らせを確認してください。ボルダリングが認められるのは、指定された区域内だけです。キャンプ場以外での野営や車中泊、森の中での焚き火は禁止されています。小道を利用し、ごみを持ち帰り、天然毛のブラシでチョークの印を落としてください。川は急に増水することがあるため、周囲にも注意が必要です。Ferrera自治体はエリア閉鎖のリスクを伝え、保全への協力を呼びかけています。

 

Ulrich RökerがMagic WoodのMantle King 6Cを登る様子

 

 

Magic Woodでのボルダリング

 

さて、実際のクライミングについて見てみましょう。ボルダーは美しい片麻岩で、岩質はそれほどざらざらしていません。ただし、川の近くか森の奥の高い場所かによって、岩の質感や形は変わります。Magic Woodでは、細かいホールドやスローパー、船首のような張り出し、オーバーハング、ダイナミックなムーブなど、多様なスタイルを楽しめます。一方、有名になって多くの人が登るようになった結果、場所によって岩が磨かれ、湿った天候では保持しにくいこともあります。

 

数年前までは、オンラインでダウンロードできるA4判1枚の簡単なトポしかなく、道を見つけにくいこともありました。現在はスイスの複数のガイドに主なセクターが掲載され、Gebro VerlagによるMagic Wood専用ガイドも第3版まで刊行されています。かつて森の中にあった踏み跡は、案内板や主要な岩の名前が示された小道となり、以前より道に迷いにくくなりました。

 

Barna KerényiがMagic WoodのLand of Unicorns 7B+を登る様子

Barna Kerényi_Land of Unicorns_7b+ © gebro-verlag.de

 

易しい課題も難しい課題も?

2000年代初めから、アメリカやヨーロッパの強いクライマーがMagic Woodの難しいラインを登る動画がインターネットで広まりました。7C以上の課題がヨーロッパでも珍しいほど豊富なため、トップクライマー向けのエリアという印象も生まれました。しかし実際には課題の数が非常に多く、どのレベルの人でも自分の挑戦したいラインを見つけられます。気温も来訪者数も高い時期には、何を登るか決められないことより、空いている課題を見つけるほうが難しいかもしれません。

 

 

Magic Woodへの行き方

 

Magic WoodはスイスのGraubünden州、緑豊かで雨の多いAversの谷(Averstal)のAusserferrera近くにあります。Magic Woodの上流側にあるAusserferreraにはBodhi CampingとGasthaus Edelweissがあります。一方、下流側で食料や日用品を買いそろえるにはThusisが便利です。パン屋、スーパー、小さな工房のほか宿泊施設もあります。森からは離れていますが、家族旅行や周辺観光を組み合わせる場合には便利な拠点です。

 

 

Magic Woodのシーズン

 

記事の初めにも触れたとおり、Magic Woodは典型的な「夏の目的地」です。ただし、岩のフリクションが良い春と秋に登れる期間は、雨の量や気温、冷たい岩を指で感じながら登りたいという皆さん自身の意欲によって変わります。

 

 

この地域の夏の天候は変わりやすく、まとまった雨が降ることも多いため、出発前に天気予報を確認することをおすすめします。

 

 

旅の途中にMagic Woodへ

 

複数の場所を巡る旅がお好きなら、スイスやオーストリアのアルプスの谷を回る途中にMagic Woodを組み込めます。Gotthard峠、Silvretta、Sustenpassからそれぞれ車でおよそ2時間の位置にあり、比較的短い移動で複数のエリアを訪ねられます。緑豊かなMagic Woodの森から、険しいアルプスの峠まで、異なる景色と課題を組み合わせて楽しめます。

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