感情知能とクライミング:Dr Guido D’Acutiへのインタビュー

2021年6月のアーカイブから、Dr Guido D’Acutiへのインタビューをお届けします。春、競技大会、選手の年齢についての言及はいずれも当時のものです。回答は省略せず、全文を掲載しています。

近年、クライミングでも、身体面や技術面の準備だけでなく、それ以外にパフォーマンスを左右する要因に目が向けられるようになってきました。とりわけ競技の場では、感情の状態と、ストレスや選手が厳しく試される状況に対処する力が重要な役割を果たします。ただ、私たちのような独特のスポーツでは、普段の岩場での一日でも、自分の感情の状態がどれほど大切かを誰もが実感できます。今回は、これまでにもこのブログの多くの記事に登場していただいた、クライマーであり心理学の専門家でもあるDr. Guido D’Acutiに話を伺います。

Guido、おはようございます。またお話しできてうれしいです! 春の季節を存分に活かして、岩場での日々を楽しんでいますか?

おはようございます! クライミングを再開し、毎週少なくとも二度ほどは仕事から離れて岩場に行くようにしています。仕事の日々はいつもとても忙しいのですが、クライミングは心と体のエネルギーを充電する助けになっています。

感情知能について、私たちからはごく簡単な説明をしました。この概念が具体的に何を意味するのか、定義を教えていただけますか?

感情知能とは、自分の感情を認識し、扱い、理解する能力です。それを最も機能的な方法、つまり、その感情を扱ううえで最も役に立つ方法で行う力を指します。「感情知能」という概念にはさらに多くの意味があります。他の人の感情を認識することを可能にするものでもあるからです。人間関係の面では、相手を理解する能力は欠かせません。

たとえば、クライミングのある場面でパートナーが困難に直面して緊張しているときは、その人を理解することが大切です。そして、安心させようとするのではなく、そっと気をそらすようにしてみます。緊張が最も高まる場面では、気をそらすことが恐怖の感情に対抗し、改めて集中を取り戻す助けになることがあります。

感情知能はまさに、自分の感情の状態と、他の人の感情の状態を認識して扱う助けになります。特にGolemanは、感情知能を「個人がリーダーシップの方向へ進むのを助ける能力」と定義しました。Golemanが挙げているのは、気づき、自己調整、動機づけ、共感です。いずれも、自分自身と他の人の感情を扱ううえで鍵となる特徴です。

岩場で登る人。片手をホールドにかけ、近くにクイックドローがある。Fionn Claydon from Unsplash.

知能という言葉からは、生まれつき備わっていて、人によって程度の異なる資質を思い浮かべます。感情知能についてはむしろ「鍛えられる」と考え、具体的な実践を通じて少しずつ向上できると言えるのでしょうか?

感情知能は、確かに鍛えることができます。むしろ、次の学校改革では教育省のカリキュラムに取り入れてほしいと思っています。感情知能を鍛えるとは、常に相手の声と自分自身の声に耳を傾けようとすることです。自分が感じる感情を理解して名前をつけ、絶えず自分自身を問い直そうとすること。自分に耳を傾けるのはいつも、とても難しいことです。それでも、欠かせません。自己への気づきとは、まさに自分の限界と強みを理解する能力です。この取り組みによって、自分の特徴をさまざまな状況に適応させ、最良の結果につなげることができます。

競技選手は若いことが多く、とても若い選手もいます。たとえば、ボルダリングのワールドカップでは16歳のOriane Bertoneが表彰台に上がり、ほかにも非常に若いアメリカの女子選手たちがいます。この若さによって、ある種の感情を扱うのが難しくなることはあるのでしょうか?

若い頃の気づきは、多くの場合、より「純粋」で透明です。大人になると私たちがかけがちな、たくさんのフィルターがありません。ここでいうフィルターとは、現実をどう受け取るかという私たちの方法です。現実の受け取り方と反応の仕方が、あらかじめ決まったパターンを形づくり、そのパターンは繰り返される傾向があります。感情の面では、これがうまく機能しなくなることがあります。感情をより強烈に、そしてより不透明に経験するようになるのです。若い頃は決意もより強く、感情が支えになってくれます。まるで本能的に感情を扱えるかのようです。反対に、年齢を重ねるにつれ、現実を受け取る際のそうした繰り返しのパターンによって、心のブロックが生じるリスクがあります。

岩壁にいる人のクローズアップ。手、ロープ、クイックドローが見える。Kyle Mills from Unsplash.

これまで何度も言ってきたように、クライミングは技能を要するスポーツです。この記事を書くために調べていたところ、感情の状態が動きの協調に大きく影響すると読みました。多くの人に見られていたから、あるいは何か別の理由で居心地が悪かったからという理由で、ひどくぎこちない動きで登った経験がない人は、手を挙げてみてください。そう考えると、クライミングではこの側面にも、ほかの種類の準備と同じくらい注意を向けるべきだと言えるでしょうか?

もちろんです! ある女友達は、一緒に登るたびに、クライミングはメンタルのスポーツだと言います。最良の感情の状態を整えられれば、自分の可能性も最大限に発揮できます。技術が重要なのは当然ですが、私たちの心、なかでも感情は決定的な役割を果たします。たとえば、仕事で最悪の一日を過ごし、夕方遅くに岩場へ行く予定があるとします。その感情の状態を理解し、そこに耳を傾けることが大切です。感情の面で限界に挑む準備ができていないと感じたら、別のトレーニングをするほうがよいでしょう。より易しいルートや、練習にはなるけれど不可能ではないムーブに取り組むのも一つです。そうすれば、失敗を招くことなく、自分の怒りを技術的な動作へと向けることもできます。感情が過度に乱れた状態で複雑なルートを試せば、失敗はすぐそこにあるかもしれません。自分の感情に耳を傾けることは、成果を上げながら楽しく登るために欠かせないのです。

スポーツのパフォーマンスに悪影響を与える緊張について考えるとき、それはその人の行動に特有の姿勢である可能性が高いのでしょうか。それとも、外的な要因から生まれる状況で、誰にでも同じ頻度で起こりうるものなのでしょうか?

緊張はさまざまな要因から生まれます。そんなときこそ、感情知能の能力が欠かせなくなります。自分の行動をよりよくする要因が何かを認識すること。たとえば、天候の条件がよりよい時間帯に登ることです。また、先ほど述べたように、自分の感情の状態を認識することは自分を守り、自分の限界を超えるべきときなのか、それとも違った方法で、競争性を抑えて練習するべきときなのかを理解する助けになります。誰にでも同じように当てはまる処方箋はありません。自分自身と相手に深く耳を傾けることで初めて、あらゆる緊張に対処できるのです。さらに、自分たちが活動している状況を理解することも加えたいと思います。この三つの要因、つまり自分自身、他の人たち、そして状況を組み合わせ、感情を扱うためのすべての能力を使うことで、思いがけないパフォーマンスに到達できることがあります。

編集部注:パートナーの気をそっとそらすという提案は、感情面でのサポートという文脈で理解してください。ビレイへの注意や、登る人とビレイヤーの間で合意したコミュニケーションを妨げてはいけません。

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