2021年8月の記事。クライミングロープには、湿気や摩耗への耐性、扱いやすさを向上させるため、ますます高度な技術が用いられています。想定される用途に合わせて、重量、直径、シースの割合のバランスが追求されています。仕様表には、摩耗の軽減に役立つさまざまな加工が記載されていますが、その加工だけで寿命の延長や長期にわたる安全性が保証されるわけではありません。
撥水加工は、広く使われている加工の一つです。以前の記事ではUIAAの撥水試験の仕組みを説明しましたが、今回は水への耐性と耐摩耗性の関係を詳しく見ていきます。

非常に湿った環境で撥水加工のないロープを使用すると、吸収した水によって重くなったり、膨らんだりして、扱いにくくなる場合があります。また、Edelrid Ropebookが説明しているように、濡れたロープは墜落時に吸収できる動的エネルギーが少なくなることもあります。2021年の本文でSinging Rockの試験に関連して挙げられていた、最大負荷での試験墜落回数が3分の1減るという数字は、すべてのロープに当てはまる割合ではありません。影響はロープと試験条件によって異なります。水は繊維の動的な挙動を変えることがありますが、衝撃力の増加を、吸収した水の重さだけに結び付けるのは正しくありません。
まず、撥水加工の種類を区別する必要があります。加工はコアのみ、シースのみ、またはシースとコアの両方に施されます。普及の状況や性能は、製品ラインとメーカーによって異なります。

シースのみに施す加工
シースを構成する個々の繊維に加工を施すと、吸水量を減らし、耐摩耗性を高められる場合があります。2021年の記事で紹介された比較では、吸水量はロープの重量の約36%、耐摩耗性は未加工のロープより最大40%高いとされていました。これらはその比較について報告された数値であり、シースだけに加工を施したすべてのロープに当てはまるものではありません。UIAAが試験について発表した2014年の告知では、未加工のロープは約50%、試験に合格するには不十分な加工で「dry」として販売されていたロープは20–40%とされていました。元の記事がこの比較の出典として挙げていたのはEdelrid Ropebookです。

シースとコアの両方に施す加工
シースとコアの両方を加工することで、吸水量をさらに減らせる場合があります。UIAA Water Repellentの認定を得るには、事前の摩耗処理を含む所定の試験で、試料の重量に対する吸水量が5%を超えてはいけません。さらに低い値を達成する製品ラインもあります。Edelrid RopebookはPro Dryについて1–2%としていますが、それがすべてのブランドやモデルに対する保証になるわけではありません。2021年に紹介された、Ellis Brighamが公開しているMammutの比較動画では、未加工のロープ(Infinity Classic)、シースのみに加工を施したロープ(Infinity Protect)、シースとコアの両方を加工したロープ(Infinity Dry)の耐摩耗性の違いが示されています。これらは当時の製品ラインの例です。実験室での耐摩耗性の向上は、使用中の耐久性に役立つ場合がありますが、実際の使用寿命が延びる保証ではありません。使い方、摩耗、手入れ、メーカーの廃棄基準も関係します。
Ellis Brighamが公開したMammutの試験動画を見る(英語)

登山やミックスルート、雪上での活動など、ロープが濡れたり凍ったりする可能性がある用途では、想定される条件に合った加工とモデルを選ぶことが大切です。年間を通して頻繁に岩場で登る人にも撥水性が役立つことはありますが、どの状況でも優先度が同じとは限りません。こうした加工のないロープも、用途に適していれば、インドアクライミングや乾燥した条件での岩登りの選択肢になります。数か月岩場で経験を積んだ後に、より用途を絞った購入を考えて最初のロープを探す人も、単に初心者であるという理由ではなく、使用条件から選ぶ必要があります。
出典(英語):Mammut、Ellis Brigham公開の動画、Edelrid Ropebook、UIAAの撥水規格についての告知。











